投稿日:2022.02.03
更新日:2024.01.30
最近“加湿器肺炎”という言葉をよく耳にします。
「原因不明のせきが止まらない。のどより奥が痛い。胸に違和感が…」など、肺炎症状を引き起こしている原因が、実は加湿器だったというものです。テレビや新聞で死亡事例も報道されていました。
前回のコラムで気化式の「冷風機」すなわち「冷風扇」は、気化式の「加湿器」と同じ構造であるとお伝えしましたので、ちょっと気になってインターネットで検索したところ、たくさん出てきて驚きました。
“加湿器肺炎”の原因やその症状、そして対処法について記述されたサイトを紹介します。
まず、ウェザーニュースサイト2022年1月13日の記事では、“加湿器肺炎”の原因について、横浜鶴見リハビリテーション病院の吉田勝明院長が次のように語っています。
「“加湿器肺炎”は加湿器の中に発育したカビや、場合によってはレジオネラ菌などを吸い込むことで起こります。カビ自体は病原性が弱く肺に直接炎症を起こさせることはありませんが、肺や気管支がカビによるアレルギー反応を起こすことが“加湿器肺炎”の原因となっています。
専門的には、“加湿器肺炎”は過敏性肺臓炎というアレルギー性肺炎の一種なので、通常の肺炎の治療薬である抗菌薬(抗生物質)は効果がありません。
症状は発熱、せき、息苦しさなど通常の肺炎と同じです。重症の場合には呼吸状態が悪化して、入院が必要になるケースもあります」
ウェザーニュースサイト 『加湿器肺炎に注意 原因や対処法は?』
https://weathernews.jp/s/topics/202201/120215/
このように“加湿器肺炎”は、アレルギー性肺炎の一種で抗生物質が効かない恐ろしい肺炎だということがわかります。
NHKのサイトでは、次のような死亡事例もありました。
加湿器が原因とみられる、レジオネラ菌による肺炎の発症で亡くなるケースも出ています。
2017年12月から2018年1月にかけて、大分県の高齢者施設で入所者など3人がレジオネラ菌による肺炎を発症し、このうち1人が亡くなりました。入所者の部屋にあった加湿器からレジオネラ菌が検出されました。
厚生労働省はこれらの事態を受けて、加湿器の衛生管理を徹底するよう関係機関に告示しています。
一方、消費者庁などが運用している事故情報データバンクにも、加湿器を使っている間に呼吸困難になるなど体調に異変があったという情報も寄せられています。
また、呼吸器の病気に詳しい山口県済生会下関総合病院 呼吸器科長の小畑秀登医師は「カビや化学物質などを繰り返し吸い込むことでアレルギー性肺疾患になることがあります。加湿器から放出されたカビなど加湿器に由来する肺炎は、“加湿器肺炎”とも言われ、場合によっては重篤な症状につながる場合もあります」と、注意を呼びかけています。
「もし1週間前にコップに水を入れたとして、その水を飲む人はまずいないだろうと思います。加湿器も飲み水と同じような感覚でいてほしいんです。古い水は飲まないのと同じで、古い水は吸い込まないように」
示唆に富んだメッセージです。
NHKサイト NEWS UP『加湿器で肺炎!? 正しく使って』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210302/k10012893861000.html
“加湿器肺炎”の原因のひとつであるレジオネラ菌は、土の中や湖沼など自然界に普通に生息している細菌です。
菌の数が少なければ特に影響がないのですが、この菌は閉鎖または澱んだ人工環境水下で増殖するため、異常に繁殖した菌は人体に害を及ぼします。
そして特に手入れが悪い加湿器は、まさにレジオネラ菌など雑菌やカビが爆発的に増殖する格好の場所なのです。ほんのわずかな水分でも長時間溜まって澱んでいるとレジオネラ菌は増殖し続けます。
加湿器から排出されるレジオネラ菌に汚染されたエアロゾル(目に見えない細かい水滴)を肺に吸い込むことで、時には死をもたらすほど重篤な、肺炎症状を引き起こしてしまうのです。
このように恐ろしい“加湿器肺炎”ですが、その対処法についてもそれぞれのサイトで紹介されていました。
共通して言えることは、とにかく加湿器がいつも正常に機能するように、日々こまめに手入れをして、常に清潔に保つことが必要だということです。
使う度にタンクを振り洗いして、新しい水に変えましょう。タンクには必ず新しい水道水を入れます。ミネラルウォーターやアルカリイオン水、40℃以上のお湯はNGです。トレイやフィルターがある場合は2週間に1度を目安に水洗いして、スポンジなどで水垢の付着を取り除くことも効果的のようです。
マイベストプロ神戸(神戸新聞社)鳥山修史さんのコラムでは、レジオネラ菌は60℃の環境なら5分で死滅するとありました。
マイベストプロ神戸(神戸新聞社)「ハウスクリーニング クリーンハンター.com」鳥山修史代表のコラム
『命を失う危険性もある加湿器肺炎の恐怖!レジオネラ症肺炎は身近なあの機械からも』
https://mbp-japan.com/hyogo/clean-hunter/column/5102527/
寒い日には暖房の使用によって更に室内が乾燥しがちです。部屋の湿度を適切に保つために加湿器を利用すること自体には何も問題はありません。むしろ、良いことだと思います。
但し、正しい使い方をしないと逆に人体に悪影響をもたらすこともあるということも知っておく必要があります。
加湿器を正しく利用するためには、取り扱い説明書をよく読んで、いつも清潔な水蒸気が排出されるように、日常の管理や手入れをしっかりとやり続けることが必要なのです。
しかし、このことは“言うは易し行うは難し”です。
常に加湿機能が清潔で正常な状態に保たれるように、徹底した管理や手入れを使う度に毎回継続して行うということは、意外と手間がかかるものです。
気化式の「加湿器」と同じ仕組みである気化式の「冷風機」すなわち「冷風扇」も、同じように日々の管理を怠れば、時には死を招く危険性を孕んだ、恐ろしい“加湿器肺炎”を引き起こす可能性がでてくるということになります。
体育館や作業場など大きな施設で使用される「気化式の冷風機」や「冷風扇」の管理や手入れは、尚のこと大変な労力を必要とします。
体育館や作業場は、様々な人が利用します。免疫が正常な状態の人ばかりではありません。免疫が低下している人にも常に安全である状態を維持する必要があります。
レジオネラ菌は人から人への感染はありませんが、気化式の「冷風機」や「冷風扇」からの排気にレジオネラ菌などの雑菌、カビなどが含まれていれば、それを吸い込んだ大勢の人が肺炎症状を引き起こす、集団感染の可能性もありえます。
設備や機器を導入する際には、身体に安全であるかを考慮し、安心して利用できるものなのか、さらに様々な観点からみて、本当に省力化できる設備や機器なのか、ということを優先して検討してみてはいかがでしょうか。
もともと健康状態を害する可能性が高い安価な「冷風扇」のような設備はおすすめできませんが、もし日々の適切な管理や手入れの継続に不安を抱くようであれば尚さらです。たとえ安価で手っ取り早く熱中症の対策がとれると謳った設備であっても、決して利用するべきではありません。
また、空調設備を取り扱う業者の説明不足も問題です。安さや都合の良い点だけを強調しているような業者は避けたほうがよいでしょう。
空調設備や機器をおすすめするプロであれば、実際に導入する環境を勘案し、使用する上での注意点や考慮する点などをしっかりと説明するべきなのです。“売って終わりは誠意なし”です。
使う側に寄り添い、困りごとや課題としっかり向き合ってもらえるような、信頼できる業者を選びましょう。
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