投稿日:2022.06.02
更新日:2024.02.19
学校での活動中に起きた熱中症の多くは、体育の授業や部活動などの運動中に起きています。熱中症には屋外での事故のイメージもありますが、実は体育館も熱中症のリスクが高い場所として知られています。そのため、体育館を涼しくすることは学校での熱中症対策として重要になるのです。今回は、体育館を涼しくする方法について解説していきます。
体育館は、上部が大きな窓ガラスで覆われていて太陽光を取り込む構造になっています。また、建物は金属屋根や鉄骨で作られている上に密閉されていて風が通りにくいので、熱が逃げにくくなっています。つまり、体育館には温室と同様の効果が働くため、気温が上がりやすく下がりにくいという特徴があるのです。使用時には多くの人が中で活動し湿度が高い状態も維持されるので、熱中症のリスクはますます高くなります。
環境省の「熱中症予防情報サイト」によると、体育館の暑さ指数は、午後1時ごろから高まっていき、午後5時~6時がピークになるとしています。つまり、体育館が最も活発に使われる部活動の時間帯に最も熱中症のリスクが高くなるのです。
気温・湿度が一度上がると下がりにくい体育館で、熱中症のリスクが高くなる時間帯に、熱中症のリスクが高い運動を伴うと考えると、体育館を涼しくすることは学校の安全管理において大変重要な課題であることがわかります。実際に「熱中症予防情報サイト」では、夕方でも体育館を冷やすことの重要性が指摘されています。
出典:生活の場における暑さ指数について 熱中症予防情報サイト 環境省
このような背景から、近年では多くの地方自治体で、体育館の熱中症対策を目的とした予算が検討されています。
全館冷房以外で体育館を涼しくする方法として、以下3つの方法があります。
それぞれ解説していきます。
大型扇風機とは、文字通り家庭用に使われる扇風機の大型版です。大きな風量を生み出せる大型扇風機なら、広い体育館であっても風を広範囲に送れるようになります。また、開放したドア近傍に置いて外気を送り込むこともできます。ですので、外気温30℃未満であれば、非常に有効な手段でしょう。しかし、扇風機には送風機能しかなく、温度や湿度をまったくコントロールできません。夏場の暑い時期だと周囲の温かい空気をそのまま温風として送るだけになるので、温度と湿度を両方下げることが求められる熱中症対策としては十分とは言えないでしょう。
冷風扇とは、水の気化熱を利用して空気の温度を下げて送風する機械です。冷風扇は、扇風機の機能に加えて気化した水蒸気も一緒に送風する機能があるため、扇風機よりも温度を下げるのに適した機器です。しかし、水蒸気を使うことで温度を下げられる一方で、湿度は上がってしまうデメリットがあります。
熱中症のリスクは気温の高さだけでなく、湿度の高さにも依存します。体育館のような密閉空間で冷風扇を使って湿度が高くなると、かえって熱中症を促進してしまう危険があるのです。熱中症のリスクを表せる暑さの指数(WBGT)では、記憶より湿度の方が影響が大きいとされています。
出典: 暑さ指数(WBGT)について学ぼう 熱中症予防情報サイト 環境省
ライブ会場やイベント会場などの屋外利用には適している冷風扇ですが、夏場の湿度が高い状態で密閉空間に使用するのは適していません。また、冷風扇には、水を気化させるために定期的な水の補給が必要になるデメリットもあります。
”暑さ指数(WBGT)の算出式
屋外での算出式
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
屋内での算出式
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
※WBGT、黒球温度、湿球温度、乾球温度の単位は、摂氏度(℃)です”
引用:暑さ指数(WBGT)の測定方法など詳しい情報 環境省熱中症予防情報サイト
スポットエアコンとは、局所的に強い冷風を送り、狙った場所だけを快適に冷やすためのエアコンです。スポットエアコンは、体育館全体を冷却する効果は弱いというデメリットがあります。しかし、人がいるところだけを狙ってピンポイントで冷却するだけでも十分に熱中症を予防できるので、熱中症対策としては効果の高い機器といえます。
全館冷房以外で体育館を涼しくするには、上記3つの中ではスポットエアコンが最もおすすめです。その理由は、以下の5つです。
詳細を解説していきます。
スポットエアコンは、エアコン同様ヒートポンプという仕組みを使っているので、上記3つの中で唯一気温と湿度の両方を下げられます。暑さ指数(WBGT)を大きく下げられるのは湿度を下げられるスポットエアコンだけですので、体育館にはスポットエアコン以外考えられません。
スポットエアコンは、特定の空間を狙って大風量で冷却する構造になっています。その大風量が、狙った場所の気温・湿度を素早く下げてくれます。
スポットエアコンは、一般的な工具があれば簡単に設置できます。エアコンの中には天井埋込カセット形のエアコンや、天吊り型のエアコンなど高価で複雑な工事を必要とするものもありますが、それらのエアコンに比べるとはるか容易に導入できます。
スポットエアコンには、室内機と室外機が一体型になっているものがあります。一体型を選ぶことで設置後の移動も簡単になります。体育館の場合、時間帯によって人のいる場所が変わることもあるので、それに応じて冷却が必要な場所も変わってくるでしょう。一体型のスポットエアコンなら、本体を移動させて必要なときに必要な場所だけを冷却できるのです。
スポットエアコンは、複雑な工事を必要としないので、天井埋込カセット形のエアコンや、天吊り型のエアコンに比べるとイニシャルコストを大きくおさえられます。しかも使用中は特定のスペースだけを集中的に冷やせるので、部屋全体に作用するエアコンに比べるとエネルギーの無駄もなく、ランニングコストもおさえられます。
スポットエアコンは、複雑なメンテナンスも必要としません。定期的にフィルターの点検・清掃をして、結露水を取り除くなどのメンテナンスのみで利用できます。
スポットエアコンはよく冷風扇と比較されますが、以上のメリットがあることから、体育館の熱中症対策にはスポットエアコンの方が優れているといえるでしょう。
関連記事:スポットエアコンと冷風扇・冷風機の違い【メリット・デメリット】
ただ、小型のスポットエアコンは体育館にはおすすめできません。小型のスポットエアコンは1~2人用であり、大人数が利用する体育館には向いていません。業務用の大型スポットエアコンである必要があります。
中でもスポットエアコンを選ぶなら、イーズの大型大風量スポットエアコン「スポットバズーカ」がおすすめです。「スポットバズーカ」には、大きく分けて以下の種類があります。
1)適用方法による違い
・別置型:通常のエアコンのように室内機は室内に、室外機は室外に据付設置する形です。
・一体型:室内機・室外機ともにキャスターが付いた一つの架台の上に搭載された移動可能な形です。
2)機種
・シングルタイプ:室内機112型1台と室外機140型1台が接続されるタイプです。別置型と一体型があります。
・ツインタイプ :室内機112型2台と室外機224型1台が接続されるタイプです。別置型のみとなります。
・EX(エクストラ)タイプ:室内機180型1台と室外機224型1台が接続されるタイプです。別置型と一体型があります。
「スポットバズーカ」を体育館で利用する場合、「別置型」と「一体型」ともに、以下4つのメリットがあります。
「スポットバズーカ」は吹出口の最大風速が8m/sと超強力です。一般的な業務用エアコンの最高風速が4m/s程度、家庭用の扇風機の最高風速が3m/s程度なので、「スポットバズーカ」の風がいかに強力なのかがわかります。
吹出口のストリーマと呼ばれる複雑な形状のグリルが旋回流を生み出し、その風速と相まって大風量を約50m先まで届けるので、冷却したい場所を設置場所からピンポイントで狙って冷やせます。「スポットバズーカ」の風を受けたときの体感温度は、春先の平均気温並の14℃。これなら、真夏でも爽やかな冷風「爽快爆風」を感じられ、大空間である体育館全体を冷やさなくても、人が活動している場所だけを冷やして熱中症を予防できます。
参考:扇風機の回転数や風速ってどのくらい?体感温度はどう変わるの?
「スポットバズーカ」は、風が遠くまで届くだけでなく狙ったところに届きます。室内機を天井の半分以下の高さ、多くの体育館にあるキャットウォークの上か前に設置することで人がいる体育館の下半分(高さ3m以下の空間)のみを冷やせます。そのため、通常のエアコンに比べて「半分程度の台数」あるいは「半分程度の冷房能力」で体育館内を冷やせるのです。
設置も簡単で、室外機は通常の業務用エアコンと同じ方法で設置可能です。室内機もキャットウォークに直接置くことも可能、キャットウォークが狭くて置けない場合はせり出しておけるように専用架台の防球ネット付きがあるので、簡単に設置できます。
台数や必要能力が半分で済むということは、単純に導入コストも半分で済むことになります。たとえば、立川市の資料(下表)をご覧ください。
「電気式の据置型」として一つだけ半分程度に安い導入コストが書かれています。これは「スポットバズーカ」の場合のコストです。ほかのシステムが4,400万円~6,600万円となっていたところ、「スポットバズーカ」は2,200万円。つまり半額以下で導入できるのです。なお、イーズはこの後も企業努力を続けており、さらに安価にできるよう設置方法や導入方法を紹介することができます。ぜひイーズのお問い合わせください。
出典:屋内運動場(体育館)への空調設備の設置について(立川市)
「スポットバズーカ」はイニシャルコストだけでなく、ランニングコストをおさえることもできます。空気に熱(冷熱)を効率的に伝えるにはどうしたらよいか、突き詰めて考えると空気に触れている部分(熱交換機)をなるべく大きくし、ファンの風量を大きくして熱交換器に触れる空気量を増やせばいいのです。
だから、「スポットバズーカ」は、冷暖房効率を重視するためにわざと室外機の形に特徴的なファンを搭載した形になっているのです。「スポットバズーカ」は、冷暖房効率が非常によいので、ランニングコストは格段に安いです。500㎡程度の小さい体育館なら冷房と暖房を両方使っても年間で約20万円程度です。
製品詳細はこちら:大風量エアコン「スポットバズーカ」
温度・湿度が上がりやすく熱中症リスクの高い体育館は、学校の暑熱対策における重要課題となっています。対策はさまざまですが、熱中症対策を根本的に解決するには、大型扇風機や冷風扇よりも効果の高いスポットエアコンの導入がおすすめです。イーズの「スポットバズーカ」は、学校の体育館での導入事例も多数あり、多くのお客様からご好評を頂いています。体育館の暑熱対策でお困りのことがあれば、ぜひイーズまでご相談ください。
以下のページに体育館での導入事例を掲載しているので、あわせてご覧ください。
株式会社イーズが独自に開発した、製品のカタログや取り扱い説明書をダウンロードいただけます。
必要事項をフォームに入力のうえ、送信してください。
ご返信メールにて、資料のダウンロードリンクをお送りいたします。
まずは気になる商品のカタログを読みたい、という方は以下からお進みください。