投稿日:2022.12.23
更新日:2024.02.19
家庭用エアコンの普及率が90%を超えている現代では、学校でも家庭と同様にエアコンを設置して快適な環境の提供が求められています。また、年々暑くなる夏場の熱中症対策としてもエアコン設置の重要性は高まっています。しかし、家庭に比べると大きな空間で効果を発揮する必要がある学校では、家庭用ではなく業務用エアコンの導入が必須です。
今回は、業務用エアコンを学校に導入する際のポイントを解説していきます。
公立小中学校における空調(冷房)について、文部科学省が設置状況を以下のグラフのとおりまとめています。
出典:文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況について」
グラフを見ると、この10年ほどの間に普通教室におけるエアコン設置率は大幅に伸びていることがわかります。一方で、特別教室や体育館等では設置率は伸びているものの普通教室ほどは普及していないこともわかります。
令和4年(2022年)9月1日現在の、公立小中学校における導入率の詳細は、下表のとおりです。
出典:文部科学省「公立学校施設の空調(冷房)設備設置状況について」
普通教室では設置率が95.7%となっている一方で、特別教室では63.3%、体育館等に関しては15.3%と普及が進んでいない現状を表しています。また、同調査の都道府県別の詳細を見ると、東京都では体育館等でも80%を超えている一方で、地方では1%台のところもあります。
学校でのエアコンの普及は進んでいるものの、このように学校内における設置場所や、地域によって設置率に大きな乖離があるのです。
学校に業務用エアコンを設置するメリットは、2つあります。
1つは、生徒が授業に集中できることです。文部科学省は、空調設置前の小学校では、授業に集中できないことがあると答えた児童が90%にも達していた一方で、空調設置後は勉強を頑張れるようになったと答えた児童が96%以上になったという結果を公表しています。さらに、空調設置後に児童の集中力が上がったと感じている教職員も93%になっていて、教職員の目から見ても、エアコンには明らかに集中力を高める効果があることを示しています。夏場に下敷きなどで汗の滴る顔を仰ぎながら授業している状態を想像すれば、快適な環境を整えることで授業に集中できるようになるのは必然の結果ともいえるでしょう。
2つめのメリットが、熱中症などの健康被害を防げることです。夏場の暑さが厳しくなっている近年、熱中症事故のリスクは年々上がっています。熱中症は気温だけでなく湿度も大きく影響することが知られていて、湿度を適切にコントロールできるエアコンは扇風機などに比べると熱中症対策の効果が高い設備です。
熱中症リスクがあるのは、使用頻度の高い普通教室に限った話ではなく、特別教室や体を激しく動かすこともある体育館にもリスクはあります。特に体育館は通気性が悪く、熱がこもりやすい構造になっているので、熱中症リスクは決して低くありません。
環境省情報サイトのデータによると、部活動中の熱中症事故のうち約30%が屋内スポーツで発生していることがわかります。
出典:部活動中の熱中症対策 屋内スポーツ活動編 環境省情報サイト
体育館は、緊急時に地域の避難場所としても活用される場所です。このことからも、教室だけでなく体育館も熱中症対策を実施しておく必要があるといえるでしょう。
学校の教室向けに業務用エアコンを選ぶ際のポイントを種類・タイプ、能力(馬力)、機能の3つの観点から解説していきます。
学校の教室で導入される業務用エアコンの種類として以下4つがあります。
天井埋込カセット形とは、本体が天井内に埋め込まれ、吹出口だけ露出しているタイプです。設置工事やメンテナンスに手間がかかる一方で、見た目をすっきりさせられるメリットがあります。
天井吊形とは、エアコン本体を天井から吊り下げるタイプです。天井埋込カセット形に比べると、工事やメンテナンスの手間は少ないですが、床置形などに比べるとやはり設置に手間のかかるタイプになります。
壁掛形とは、家庭用でもよく見られるエアコン本体を壁に取り付けるタイプです。天井吊形と同様に、本体が室内に露出しているタイプですが、天井ではなく壁に掛けるタイプになります。天井埋込カセット形や天井吊形に比べると、メンテンナスが容易になるメリットがあります。
床置形とは、床に本体を置くタイプです。最も手軽に設置できますが、置き場所の制約がデメリットになります。
能力とは、部屋を冷やしたり温めたりする性能を表す指標です。たとえば、冷房の場合だと、気温と湿度を両方下げる機能が必要とされる中、その冷却性能はエアコンの能力に依存します。能力を表す単位はkW(キロワット)です。
能力(kW)が大きければ大きいほど冷房や暖房としての性能は高くなります。
ただし、単に能力(kW)が高いからといって実際の効果が高いわけではありません。
風を効率的に届けられる構造にすることで、エアコンの能力を最大限発揮できるのです。効率的に風を届けるのに重要なのは、風量を大きくして、吹出し位置を最適な箇所に設け、狙った場所に風を届けることです。
能力を見る際には、kW(キロワット)だけに着目せずに、実際に風がどのように届くのかを確認しておきましょう。一般的に業務用エアコンだと10kW程度のものから、50kWを超えるものまであります。
エアコンをさらに快適かつ省エネで運用するために、付加機能を検討するのもよいでしょう。
付加機能の代表例として人感センサーがあります。人感センサーとは、室内の人の熱を感知して設定温度や風量、風の向きなどを自動でコントロールするためのものです。人感センサー機能があると、室内の温度ムラをなくしたり、過度な冷却を防いだりできます。
また、人感センサーがあれば、室内が無人のときに電源を自動的にOFFにできるので、省エネ効果も期待できます。
もう1つの代表例が、設定温度自動復帰機能です。設定温度自動復帰機能とは、一時的に温度を変更してから一定時間が経過すると、自動的に元の設定温度に戻す機能です。
体育の授業の後など、設定温度を変えて一時的に室温を下げたいケースもありますが、授業が進むにつれて今度は冷やしすぎの問題が出てしまいます。設定温度自動復帰機能があれば、一定時間で設定温度を自動的に戻してくれるので、冷やしすぎや暖めすぎをなくせます。人感センサー同様に、省エネにも有効な機能です。
学校の体育館や講堂は、教室に比べると面積も大きいので、教室向けとは少し異なる視点でエアコンを選定する必要があります。
体育館の空調として導入できるエアコンには、以下3つの種類があります。
エアハンドリングユニットとは、大空間の空調を目的にしたオーダーメイドのエアコンです。一般的に商業施設、オフィスビル、工場などの大空間向けの大型のユニットになっていて、大容量の温度、湿度調整が可能です。
エアハンドリングユニットは、セントラル空調方式に対応するものと、個別分散空調方式に対応するものがあります。個別分散空調方式には、据置型や天吊り型などの形態があります。高性能である反面高価過ぎるので、他の方式に比べると導入コストが一桁高くなることも珍しくありません。主に体操競技やバドミントンの全国大会で使うような格式の高い体育館で使われるタイプです。
パッケージエアコンとは、1つの室外機に対して、室外機から配線・配管が接続された室内機が1:1、または1:N(複数)でセットになったエアコンのことです。室外機が稼働しているときは、つながっている全ての室内機が動くので、このまとまりのことを指してパッケージエアコンと呼ばれています。供給されるエネルギー源の違いにより、電気式(EHP)とガス式(GHP)に分けられていて、いずれの方式でも体育館への導入は可能です。
一般的なパッケージエアコンは主に事務所や店舗、教室など人が近くにいることを想定して作られているので、室内機からの風量が小さくなっています。そのため、体育館全体をカバーするには相当の台数が必要になります。
スポットエアコンとは、局所的に強い風を送り、狙った場所だけを冷やしたり暖めたりするエアコンです。スポットエアコンは、体育館全体を冷却する効果は弱いのがデメリットです。しかし、人がいるところだけを狙ってピンポイントで冷却するだけでも熱中症対策には十分に効果を発揮できるので、体育館の空調としては低コストに導入できる手段になっています。
ただし、一般的に市販されているスポットエアコンだと1人用、面積に換算すると数㎡程度の空間を想定した空調機器なので、体育館に導入するなら業務用のスポットエアコンを導入する必要があります。
体育館・講堂のような広い場所には、家庭用のエアコンでは不十分なので、より高い能力をもつ業務用エアコンが求められます。さらに、体育の授業や部活動、試合が開催されることも考慮して機能を選択することが大切です。
体育館向けのエアコンには、教室向けに比べると細かい機能が要求されるケースは多くありません。しかし、熱中症対策としての冷房機能だけでなく、暖房機能も備えることで、体育の授業だけでなく、卒業式や入学式などのイベントも含めて年中活用できるので、より汎用性を高められます。
前述のように体育館は、熱中症リスクの高い場所でありながら、エアコンの導入が進んでいない場所です。導入が進まないのは、大きな能力のエアコンが必要となりコストと工期がかかってしまうと思われていることも原因の1つです。
近年はそうしたデメリットを解消できるスポットエアコンの導入が進んでいます。株式会社イーズが開発した「スポットバズーカ」は、学校の体育館に導入するのに適したスポットエアコンで、実際に多くの体育館でご採用頂いている実績があります。
「スポットバズーカ」のメリットは、以下4点です。
「スポットバズーカ」は、狙ったところにピンポイントで風を届けられます。「スポットバズーカ」の吹出口からは最大風速が8m/sの風が出ます。これは家庭用扇風機の2.5倍以上の風速です。その大風量を約50m先まで届けられる設計になっているので、冷却したい場所を設置場所からピンポイントで狙えます。「スポットバズーカ」の冷風を受けたときの体感温度は、春先の平均気温並の14℃です。
この温度の風にあたれば、真夏であっても爽やかな冷風に感じられますし、大空間である体育館全体を冷やさなくても、人が活動している場所だけを冷やして熱中症リスクを減らせます。
「スポットバズーカ」は、風が遠くまで届くだけでなく狙ったところに届きます。室内機を天井の半分以下の高さ、たとえば体育館にあるキャットウォークの上か前に設置することで、人がいる体育館の下半分(高さ3m以下の空間)だけを冷やせるのです。そのため、空間全体を冷やすことが前提となる通常のエアコンに比べると、「半分程度の台数」あるいは「半分程度の冷房能力」で体育館内を冷やせます。
台数や必要能力が半分で済めば、単純に導入コストも半分で済むことになります。たとえば、立川市が公開している資料(下表)をご覧ください。
出典:屋内運動場(体育館)への空調設備の設置について(立川市)
「電気式の据置型」として一つだけ半分程度に安い導入コストが書かれています。これは「スポットバズーカ」の場合のコストです。ほかのシステムが4,400万円~6,600万円となっていたところ、「スポットバズーカ」は2,200万円。つまり半額以下で導入できるのです。
イニシャルコストだけでなく、ランニングコストをおさえることも「スポットバズーカ」のメリットです。「スポットバズーカ」は、冷暖房効率を重視するために室外機の形にユニークなファンを搭載しています。そのため冷暖房効率が非常によくなり、ランニングコストは他のタイプのエアコンに比べて格段に安くなります。500㎡程度の小さい体育館なら冷房と暖房を両方使っても年間で約20万円程度です。
「スポットバズーカ」には、オプションで防球ネットも用意して、安全配慮もできるようになっています。先ほどの立川市の「スポットバズーカ」の導入理由の1つとして、安全性が高い点も挙げられています。
学校では、教室だけでなくさまざまな場所で活動が行われるので、その場所に適した空調設備を検討する必要があります。比較的小さな空間となる教室では、室内全体に効く空調が最適です。一方で、体育館などの広い場所だと人のいる場所だけを狙ってピンポイントで効果を発揮するスポットエアコンは、最適な選択肢の1つです。
株式会社イーズは、「スポットバズーカ」を多数の体育館に導入してきた実績があります。イーズはさらなる企業努力を続けており、記事中に紹介したよりも安価な設置方法や導入方法を紹介することも可能です。スポットエアコンについて詳しく知りたい方は、イーズまでご連絡ください。ご購入のプランだけでなくリースのプランもご用意もあります。
株式会社イーズが独自に開発した、製品のカタログや取り扱い説明書をダウンロードいただけます。
必要事項をフォームに入力のうえ、送信してください。
ご返信メールにて、資料のダウンロードリンクをお送りいたします。
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