農業用ヒートポンプ記事
AGRI-HEATPUMP ARTICLE
投稿日:2026.03.30
更新日:2026.03.30
千葉県のバラ農家が、採花ロスを減らし全量を売り切る経営によって所得向上を実現した事例です。燃料費高騰を機にヒートポンプを導入し、除湿効果により灰色かび病の発生を抑制して栽培の幅が広がりました。複数の販路と商品提案により安定価格での販売を実現した経営手法がわかります。
千葉県君津市で「ルージュロワイヤル」や「ジュリア」「キャラメルアンティーク」など約20種類のバラを栽培する榎本雅夫さん(68)は、採花ロスを減らし、複数の販路で全てを売り切る経営で所得向上につなげている。ハウス内で育てた大小さまざまな花に価値を見いだし、新商品を提案。販売先のニーズに合わせて出荷する。栽培前に販売業者と事前に打ち合わせて品種を選ぶ「オーダーメード栽培」にも取り組み、幅広い需要に対応する。
「いろいろなバラがあっていい」と考える榎本さん。細身でしなやかな小輪から太くてがっちりした大輪系までを作りこなし、販売先との話し合いで、品種を事前に選んだりすることで多様な需要に応えられる栽培を可能にした。
バラの販売環境は厳しさを増す。榎本さんは「需要が旺盛だった1990年代のバブル期に比べ、現在の単価は約3割減」と分析。「お客さんを待っているだけでは駄目。こちらから提案し、自分の土俵に引っ張り込まなければ」と榎本さんは発想を転換して、ニーズ創出に力を注ぐ。
2015年には、病院での生花への抵抗を取り除こうと同県鴨川市の病院内にある生花店が始めた病室に花を届ける試みに協力。小さいつぼみが入った「榎本さんのバラ束」は患者から人気という。「スーパーに描かれているバラは茎が曲がっている」(榎本さん)ことから着想し、地元直売所では、市場出荷できない茎が曲がった花や小さい花などを販売する。
独自の商品づくりも進める。市場出荷向けは70~80センチが標準的だが、食卓の花瓶で飾ることをイメージし、30センチの短いサイズも生産。花の大きさや茎の長さ、曲がり具合などで1品種で3パターン以上の生産に取り組む。販売先と事前に品種や品質を決めることも販売強化につながった。
「育てた花は無駄にしない」を徹底する榎本さん。茎が曲がっていても、針金で作った矯正器具で伸ばして再び市場出荷できるよう工夫して、採花ロスを徹底して減らす。
矯正器具は太さ1.2ミリの針金の上下をフックのように曲げて使う。片方のフックはつぼみの首の部分に引っ掛け、一方は、上からつり下げた輪ゴムに引っ掛けて誘引し、市場出荷できるよう茎をまっすぐに矯正する。
08年の燃料費高騰を機にヒートポンプを導入。除湿効果で病害発生を抑えられ、灰色かび病に弱い「フランソワ」などの品種も栽培できるようになった。
経営の転機はおよそ5年前、業者交流会で、首都圏を中心に生花店を展開する「青山フラワーマーケット」の社員と知り合ったこと。同社と業務提携し、出荷するバラ全量を年間通して安定価格で買い上げる契約を結んだ。
いまは施設の半分を同社の契約生産が占める。市場出荷は3割、地元直売所と庭先販売合わせて1割、企業向け直販が1割弱で販路を複数もつ。多様なルートで完全に売り切る。
売り切る経営で、榎本さんの所得は売り上げのおよそ3割。自身が調べた同業他社の平均と比べ1割程度高くなった。「直売所分を増やせば、もっと所得も増えると思う」とみる。
日本ばら切花協会会長を経て、いまは顧問を務める。バラ業界全体を引っ張る立場でもある。「バラの持つ多様性を広め、花の文化の価値を高めたい」と、もうかる経営で業界をけん引する。
経営概況
労働力: 夫妻、長男。
経営規模: 室町時代から続く農家で、21アールのハウスでバラを生産。この他に水稲1ヘクタール、露地野菜15アールを生産する。
販売量: バラ12万本。
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